EXHIBITION
MARCEL GASCOIN &DESIGN FURNITURE EXHIBITION
マルセル・ガスコアンとデザイナー家具展
2023.04.10 - 2023.04.15
2023年4月10日(月) 〜 2023年4月15日(土)
ミッドセンチュリー・ファニチャー「マルセル・ガスコアンとデザイナー家具展」を開催。1950年〜1960年代主にフランスで活躍した建築家・インテリアデザイナーの家具を展示販売しております。
Marcel Gascoin / マルセル・ガスコアン(1907年―1986年) [建築家・インテリアデザイナー ]
-フランス・ミッドセンチュリーの羅針盤
ミッドセンチュリー・ファニチャーというとアメリカを思い浮かべる人も多いと思います。ヨーロッパ、スカンジナビア、日本も巻き込んだ世界的なムーブメントですが、いま静かに注目されているのがフランスです。機能的で美しいフォルム、タイムレスな洗練美、3次元曲線。無条件に明るいPOPというよりも、少しクラシックな香りを漂わせたフランスのミッドセンチュリー・ファニチャー。意欲的なデザイナーの作品が次々と発表されました。今回は、そのアトリエから多くの時代を代表するデザイナーを輩出したマルセル・ガスコアンをご紹介したいと思います。
-それは、未来へむかう復興でした。
第二次世界大戦直後のフランス。人々はパリ解放・終戦の歓喜に包まれていました。とはいえ、ヨーロッパ全土を巻き込んだ長年の戦火によって、街はひどく傷ついていたのです。深刻な住宅不足、急務となった公営住宅の建設。その復興事業の中でインテリアアーキテクト兼デザイナーとして重要な役割を果たしたのがマルセル・ガスコアンです。彼が挑んだのは、戦前のライフスタイルを取り戻すというよりも、未来への希望や新時代への期待をカタチにする仕事だったに違いありません。建設ラッシュの公営住宅は新しいサイズ、その中に戦前とはまったく異なる価値観と美意識のモダンな都市生活を描いていったのです。
-「機能」が「美」を磨く、reconstruction style。
ガスコアンが船乗りの一家に生まれたことが、彼の革新的なデザインに与えた影響は少なくないでしょう。幼少の頃から“狭くても整然とした船の空間”に親しみ、その毅然とした美しさを根底におきながら、戦後フランスの基準となる家具をデザインしていきました。自由で、シンプルで、美しく、機能的。そして生産ラインにのること。言葉にしてみれば簡単そうに聞こえますが、じつは、斬新な発想とディテールを大切にしたデザインがあってこそ実現できる美意識です。ガスコアンの真骨頂といわれるモジュラー収納のユニットは、飛行機の翼をそのまま設置するような軽やかさ。壁にランダムに配しても、整然と並べても美しく、スペースを有効に使えるだけではなく、暮らす人の表現力や想像力を刺激します。パーツ切り出しの角度など緻密に計算されたデザインによるものだと評価されています。また堅牢な構造を持ちながら座面が浮いたように見える、名作Cチェア、四角形にも丸形にも変身する“マーガレット”と呼ばれるテーブル。その偉業は数え切れません。機能と美しさが競い合うことなく、完璧に融合したデザイン、いえそれ以上に、用の美をも軽やかに超えるデザイン。まさにFrench reconstruction styleの真髄といえるでしょう。
-戦後デザインの出発点のひとつとして。
ピエール・ガーリッシュ、ピエール・ポーラン、ルネ・ジャン・カイエットなどフランスのミッドセンチュリーを代表するデザイナーたちが、ガスコアンのアトリエから輩出されています。ガスコアンのデザイン哲学を学び、新たなクリエイティブを生み出していきました。ミッドセンチュリーだけではなく、その後の20世紀のデザインシーンにも大きな影響を与えたデザイナーです。